インドを旅したい人で、バラナシの地名を知らない人はいないのではないでしょうか。
バラナシはインド北東部、ガンジス川のほとりにある宗教都市で、ヒンドゥー教最大の聖地です。
「ガンジス川で沐浴をしたい」
「火葬場で人が焼かれるのを見て、生と死について考えたい」
「インドらしい混沌とした世界を見てみたい」
こんな「インドらしいインド」を体験したい旅行者にとって、ぜひ訪れてほしいのがバラナシです。
ここでは、バラナシの見どころや観光スポットを詳しく紹介します!
バラナシへの行き方、おすすめスポット、観光モデルコース、現地オプショナルツアーなど、実際に旅した僕だからこそ分かる情報を教えますね。
バラナシへ行きたい人も、これからバラナシへ行く人も参考にしてください!
バラナシってどんな街?
バラナシは北インドの東部にあり、ガンジス川を見たい人が訪れるインド有数の観光地です。
ワラーナシー、ヴァーラーナシー、バナーラスという呼び方もあり、かつて日本ではベレナスとも呼ばれていました。
ヒンドゥー教最大の聖地であるバラナシには、インド各地からヒンドゥー教徒が巡礼や沐浴にやってきます。
ガンジス川のほとりにある火葬場では、インド中から運ばれてきた遺体が絶え間なく焼かれています。
遺灰がガンジス川へ流されるという話は、聞いたことのある人も多いんじゃないでしょうか。
バラナシは三島由紀夫の『豊饒の海』や、遠藤周作の『深い河』でも取り上げられました。
「世界の底」とも言われるこの街では、誰もが「生と死」について考えさせらるはずです。
ゴミや糞尿で散らかった道を、牛やリキシャが行き交う様子はまさにカオス!
そんな最も「インドっぽいインド」を見るには、この街は外せないでしょう。
見どころ・観光スポット
バラナシの見どころ・観光スポットを紹介します。
バラナシは世界遺産には登録されていませんが、ガンジス川を中心にヒンドゥー教にまつわる名所がたくさんあります。
インドならではのその雰囲気を堪能してください!
ガンジス川(ガンガー)
バラナシにやって来たら、まずはガンジス川を目指しましょう。
目の前に広がる雄大な流れは、この世の善も悪も全てを包み込む優しさがあります。
実際に見ると、この川がなぜ「聖なる河」と呼ばれるのか、その理由が分かると思います。
それほどまでに圧倒される光景です。
ガンジス川の川岸にはガートと呼ばれる階段状の足場があり、バラナシには84のガートが点在しています。
観光の拠点となるのが、ダシャーシュワメード・ガート(Dashashwamedh Ghat)です。
リキシャで「ガンジス川(ガンガー)に行きたい」と告げると、たいていこのダシャーシュワメード・ガートに連れていってくれます。
ここから初めて見るガンジス川の光景には誰もが言葉を失うでしょう。
↓牛や客引きがたむろするダシャーシュワメード・ガートの風景
↓ガンジス川の川岸を散歩してみた
ダシャーシュワメード・ガートから少し離れると、客引きも少なくてゆったりと散策が楽しめます。
雄大なガンジス川の流れを見ながら、ガートに腰かけてまったり過ごすのもいいでしょう。
ここでは時計を気にせずゆったりと観光して回るのがおすすめです。
沐浴をしたい人への注意点
「ガンジス川へ来たからには沐浴しなくては!」という人も多いのではないでしょうか。
実際のところ現地の人はいたるところで沐浴していますし、水着で泳いでいる白人の観光客もいます。
少し離れたガートに行けば人もそんなにいないですし、ジロジロ見られることもありません(女性はどうか分かりませんが・・・)。
なので、沐浴はやれないことはないと思います。
ただし、ガンジス川の水は濁っていて、底がほとんど見えないです。
川底もニュルニュルしていて、思わぬ深みに足を取られることもあります。
また、ガンジス川は死体が流されるほか、下水や工場用水も流れ込んでいます。
免疫のない日本人が沐浴すると、発熱や体調不良を引き起こすこともあります。
病気になって楽しい旅行が台無しになっては、元も子もないですよね……。
だから、よほどこだわりを持っている人以外は、沐浴はせずに手や足をつけるだけにとどめた方が無難です。
手をつけるぐらいなら、そんなに神経質にならなくても大丈夫でしょう。
ちゃんと後で手を洗っておけば、よほど免疫力のない人でない限り平気だと思います。
ちなみにデリー北部のハリドワールなら、上流のため水がきれいで日本人でも沐浴可能です。
沐浴がしたいならハリドワールも検討してみましょう。
ガンジス川のボートの料金・相場
ガンジス川のダシャーシュワメード・ガート付近では、ボートの乗船をすすめる客引きがたくさんいます。
ボートに乗れば火葬場を川から眺めたり、対岸へ渡ったり、歩くだけでは見れないガンジス川を体感することができます。
ただし、乗船前には料金交渉をしっかりやっておきましょう。ボートの料金相場はだいたい500~600ルピー(約900円~1,080円)程度です。
一人旅の人はチャーターするよりも、乗り合いボートに乗った方が安全です。
バラナシは治安が悪く、非常に客引きの多い街です。だまされないためには、声をかけてくる人に近づかないようにしましょう。
ボートにしろリキシャにしろ、声をかけてこない人をつかまえた方がボラれる確率は減ります。
火葬場
ガンジス川にあるガートの中で、火葬場になっているのがマニカルニカー・ガート(Manikarnika Ghat)とハリシュチャンドラ・ガート(Harishchandra Ghat)です。
火葬場では24時間絶え間なく煙が上がっており、インド中から遺体が運ばれてきます。
ヒンドゥー教徒にとっては、ここで焼かれてガンジス川に流されるのが最高の幸福とされているのです。
そのため、バラナシにやって来てひたすら死を待つヒンドゥー教徒もいるほどです。
火葬場といっても、薪がくべられているだけのとてもシンプルなものです。
遺体が焼けるのには3時間ほどかかり、焦げ臭いにおいが漂う中でたくさんの人が見学しています。
火葬の見学は、有名なマニカルカー・ガートよりも、ハリシュチャンドラ・ガートで見学する方がおすすめです。
ハリシュチャンドラ・ガートは人が少なく話しかけてくる人もそんなにいないので、ガートに腰かけながらゆっくりと見学することができます。
マニカルカー・ガートのような詐欺師によるトラブルも少ないから安全ですよ。
火葬場見学の注意点
火葬場は基本的に写真撮影は禁止です。
撮影しているとおじさんが寄ってきて「データを全部消去しなさい」と言われたりするので、トラブルを避けるなら撮影しない方が無難です。
また、偽のスタッフが薪代を請求してきたり、偽の道案内で惑わそうとする人もいます。特にマニカルカー・ガートは、そういう詐欺師が多いです。
日本語で話しかけてくる人は詐欺師なので無視しましょう。
「そこへ入っちゃダメ」と言われても、とりあえず立ち入らないようにだけして、そのあとの言葉は無視した方がいいです。
いったんつかまると「入れる場所を僕が案内してあげるよ」とつけ回ってくるので注意しましょう。
プージャ(礼拝)
ガンジス川のほとりでは、夕方になるとプージャという礼拝の儀式が行われます。
ヒンドゥー教の司祭であるバラモンが、燭台に火を捧げて祈る姿はとても幻想的です。
プージャは日没時の18時半頃、ダシャーシュワメード・ガート付近でほぼ毎日行われています。
↓プージャの様子
プージャが始まると、周りにはドラの音やお経が鳴り響き、お祭りのようなムードになります。
たくさん集まってくるインド人を見ていると、まるでアイドルのコンサートのようです(笑)。
なお、「プージャをボートから見れるよ」と勧誘してくる人もいますが、高い料金をつきつけられるので注意してください。
ベンガリー・トラ
ベンガリー・トラは、ガンジス川の川岸から一本入ったところにある細い路地です。
バックパッカー向けの安いホテルやレストランがたくさんあり、旅行者にとっては使い勝手のいいエリアです。
欧米や中国の観光客も多いので、日本人が溶け込みやすい雰囲気があります。客引きの声かけも激しくありません。
↓バラナシのベンガリー・トラを歩いてみた
ラッシーショップやチャイスタンドが多く、少し休憩したいときにも使いやすいでしょう。
日本語堪能なソナさんが経営する「ソナの何でも屋」では、ざまざまな種類のラッシーが味わえます。
日本とは味がちょっと違うパイナップルラッシー(70ルピー・約126円)はオススメです。
ベンガリー・トラは、地図で見る以上に細い通りです。
入口が分かりにくいので、とにかく注意して探ましょう(僕は何度も通りすぎてしまいましたw)。
バラナシ旧市街
ガンジス川へ続くダシャーシュワメード・ロードの北のエリアが旧市街です。
旧市街は屋台や人力車、バイク、牛、犬、ヤギ、猿などが好き勝手にうごめいていて、何でもアリの「カオスなインド」が見られます。
特に野良牛はバラナシのいたるところにいます。牛のウ○コもあらゆるところに落ちています。
ヒンドゥー教では牛は神聖な生き物として殺すことができません。
なので、野生の牛たちはゴミを漁ったり、人間からエサをもらったりして懸命に生きているんです。
また、旧市街には黄金寺院(Golden Temple)と呼ばれるヴィシュワナート寺院もあるので、街歩きついでに訪れてみるといいでしょう。
ヴィシュワナート寺院へ続く道は露店が連なっていて、歩くだけでも楽しいです。
サールナート
サールナートはバラナシの街から北東10kmの郊外にある、仏教徒の四大聖地の一つです。ブッダが初めて説法を説いた場所とされています。
見どころはダメーク・ストゥーパという大きな仏塔で、その大きさは間近で見ると迫力があります。
サールナートへ行くにはオートリキシャをチャーターするのがいいでしょう。
ダシャーシュワメード・ガートからサールナートへは、往復で300~400ルピー(約540~720円)が相場です。
バラナシへの行き方
バラナシは首都デリーから南東へ約820kmの位置にあります。日本でいうところの、だいたい東京~広島間ぐらいの距離です。
バラナシへは飛行機か電車で向かいます。日帰りは難しいので、滞在日数としては最低1泊はした方がいいでしょう。
移動はデリーからだと飛行機か電車、アグラからだと電車が基本です。
パックツアーでは「行きは電車で帰りは飛行機」「往復とも寝台列車」といったふうに行き方を選べるツアーが多いですね。
個人旅行ならデリーから行くだけでなく、コルカタから入って電車で行くルートを取ってもいいと思います。
飛行機
飛行機でデリーからバラナシへ行くのは、国内線で約1時間20分のフライトです。
「旅行日程が短い」「寝台列車はしんどい」という人は、行き帰りともに飛行機を選んだ方が無難です。
デリーからあっという間に着くので、現地での観光をたっぷり楽しめます。
デリーからはエア・インディア、インディゴ、ビスタラ、スパイス・ジェットが就航しています。
個人旅行ではLCCを利用してもいいでしょう。バラナシ行きの航空券を安く購入する方法は、下記の記事で解説してあるので参考にしてください。
バラナシ空港から市内への行き方
バラナシの空港は、市内から18km離れたラール・バハードゥル・シャーストリー空港です。
空港から市内へは、プリペイドタクシーかオートリキシャでの移動となります。
プリペイドタクシーだと、市内中心部のゴートウリヤーまで1時間ほど。料金は800ルピー(約1,440円)が相場です。
オートリキシャなら400ルピー(約720円)ほどで行けます。
ラール・バハードゥル・シャーストリー空港
鉄道
ニューデリー駅からバラナシ駅(ワラーナシー・ジャンクション駅)までは、急行が1日6~11便出ています。しかし、本数はあまり多くありません。
たいていの列車はバラナシ近郊のDDU駅(旧ムガル・サラーイ駅)までとなります。
DDU駅までの列車は1日14~20便出ているので、多くはこちらに乗ってリキシャに乗り継ぐことになるでしょう。
デリーからDDU駅までは、急行で約9~20時間。列車によって所要時間にはバラつきがあります。
また、ニューデリーからの特急シヴ・ガンガー・エクスプレスは、バラナシ駅(ワラーナシー・ジャンクション駅)より少し先のバナーラス駅(BSBS駅)から出ています。
このようにバラナシにはバラナシ駅(ワラーナシー・ジャンクション駅)、DDU駅(旧ムガル・サラーイ駅)、バナーラス駅(BSBS駅)の3つの主要駅があるので注意してください。
DDU駅から市内への行き方
DDU駅からバラナシ市内へは、オートリキシャでの移動が便利です。
所要時間は1時間ほど。料金は500~600ルピー(約900~1,080円)程度で行けます。
DDU駅(旧ムガル・サラーイ駅)
列車の旅、特に寝台列車での旅は、インドならではの貴重な経験になります。
ただし、インドの列車は遅れることが日常茶飯事。旅慣れてない人や日程に余裕のない人は、なるべく飛行機を使った方が無難です。
バラナシ観光モデルコース
バラナシの観光スポットはガンジス川沿いに固まっているので、1日あれば歩いて回れます。
一般的な観光客の滞在日数は1~2日。とはいえ、なるべく時間をとって街の混沌に溶け込んでみてはいかがでしょうか。
バラナシ観光モデルコース(1日)
- ガンジス川(ガンガー)を歩いて火葬場を見学
- 旧市街でヴィシュワナート寺院(黄金寺院)を観光
- ベンガリー・トラで食事・お茶
- 夕方にプージャ(礼拝)を見学
1日の滞在ならガンジス川付近の観光が中心になります。火葬場やヴィシュワナート寺院は半日あれば制覇できます。
2日間滞在するなら、ブッダが初めて説法をしたというサールナート(バラナシから北東へ約10km)まで足を伸ばしてもいいでしょう。
さらにもう一泊できるなら、何もせずガンジス川で「生と死」についてじっくり考える1日を作るのもオツです。
バラナシ観光地図
市内の移動はリキシャが中心になります。タクシーはほとんどありません。
バラナシ市内はオートリキシャよりもサイクルリキシャが多く走っています。
遠距離ならオートリキシャ、近距離ならサイクルリキシャと、うまく使い分けて移動しましょう。
滞在エリア
バラナシでは高級ホテルは新市街に、格安ホテルはガンジス川沿いに点在しています。
多くの観光地はガンジス川沿いにあるので、川沿いのホテルやゲストハウスに泊まれば散策しやすいです。
現地で宿を探すなら、ベンガリー・トラがバックパッカー向けの安宿が多くおすすめです。
高級ホテルは新市街に多いので、ガンジス川からは少し離れています。
観光地へ行くにはホテルの送迎サービスを利用しましょう。
下記の記事でバラナシのおすすめホテルを紹介してるので、参考にしてください。
オプショナルツアー
旅行日程の短い人なら、デリー発のオプショナルツアーに参加するのもいいでしょう。
デリーからの移動・ホテル・市内観光がセットになっているので、効率的に観光地を見て回れます。
オプショナルツアーなら大手旅行会社に頼むより、オプショナルツアー専門の旅行会社に頼んだ方が安く済みます。
VELTRAはその中でも、インドのオプショナルツアーが豊富な旅行会社。
VELTRAには1泊2日でバラナシを観光するツアー、2泊3日でアグラとバラナシを周遊するツアーがあります。
どちらも日本語ガイドがついているので、治安の悪いバラナシでも安心して観光を楽しめますよ。
バラナシの混沌とした世界を見ると、あなたの価値観もひっくり返ります。
見たことのない世界を自分の目で確かめてくださいね!
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