インドというと「危ない」「治安が悪い」というイメージの人が多いでしょう。
「だまされて散々な目にあった」という旅行者も多いですしね。
しかし、インドは一概に「治安の悪い国」とは言いきれません。インドはだまされることは多いけど、命をとられるような犯罪にはめったに遭いません。
詐欺やぼったくりは多いですが、銃などの凶悪犯罪に巻き込まれるケースはヨーロッパよりも少ないんじゃないでしょうか。
僕の経験では、むしろイタリアの方がスリや窃盗が多くて治安の悪さを感じました。
最低限のことさえ気をつければ、インド旅行は怖くありませんよ。
ここでは、旅行者が知っておきたいインドの治安の実態をお話します。
安全な旅行をするためにも、よくある詐欺の手口や旅行者がすべき対策を知っておいてくださいね。
インドで治安の悪い都市はどこ?
まずは、インド全体の治安を見てみましょう。
外務省の海外安全ホームページによると、インド全域にレベル1「渡航には十分注意してください」の警告が出ています。
ジャンム・カシミール準州及びラダック連邦直轄領にはレベル4の退避勧告が出ていますが、それ以外の地域は基本的に安全な旅行が楽しめます。
ただし、日本人が訪れる観光地はどこも治安が悪いことで有名です。
特にデリー・アグラ・バラナシといった北インドの都市は、詐欺やぼったくりが非常に多いです。
「だまされて散々な目にあった」というインドの悪いイメージは、たいてい北インドの旅行者が持って帰ってきてるんですね。
実は、南インドならそんなに治安は悪くないんです。
南インドを旅すると、強引な客引きや声をかけてくる人はぐんと少なくなります。
では、インドの主要な都市の治安状況をお話しますね。
デリーの治安
デリーの治安は悪いです。強引な客引きや詐欺はびっくりするほど多いです。
デリーの詐欺師は他の街よりも手が込んでいて、連携プレーでだましてきます。
全員が口をそろえて「そっちに行っちゃいけないよ」と言ってきたりするので、思わず信じてしまいそうになるんですね。
しかし、デリー駅陸橋の詐欺や偽DTTDCの詐欺など手口は決まっているので、よくある詐欺の手口を知っておけば被害は防げます。
アグラの治安
アグラは北インドの中ではそれほど治安は悪くありません。
タージマハル周辺では客引きや勧誘もありますが、デリーやバラナシほどしつこくはありません。
「田舎の観光地」という感じで、むしろ子供たちに声をかけられてほっこりたり、お土産屋のおじさんと話がはずんだりすることもあります。
デリーやバラナシでしつこい声掛けにうんざりした人は、少しだけ心休まる場所になるでしょう。
バラナシの治安
バラナシの治安は悪いです。リキシャやボートの勧誘も激しく、一歩歩くごとに声をかけてこられるので、最初は少し恐怖を感じるかもしれません。
ただ、一概に「治安が悪い」とは言いきれない人間味がこの街にはあります。
声をかけてくる人を無視しておけばそれ以上の被害はないし、むしろデリーの方が手の込んだ詐欺が多くて注意が必要なぐらいです。
ムンバイの治安
インドの金融街であるムンバイは、現代的なファッション姿のインド人を多く目にし、外国人も多く治安は悪くはありません。
デリーやバラナシなどと比べると、格段に安全と言えるでしょう。
ただ、観光地では観光客を狙ったスリなどがいるので、手荷物やスマホの管理はしっかりしておきしょう。
よくある詐欺の手口
多くの旅行者はタージマハルやガンジス川のある北インドを旅行します。
どうしても治安の悪い地域を回る必要が出るんですね。
なので、危ない目に遭わないために最低限気をつけるべきことを知っておきましょう。
観光客を狙う詐欺の手口はだいたい決まっています。
常套句を聞いて「これは詐欺だ」と気づけばOK。被害を未然に防ぐためにも、よくある詐欺の手口を知っておきましょう。
「そのホテルはつぶれた」「そのツアーは満席だ」
ホテルへの移動に便利なリキシャ。
しかし、ホテル名をつげると「そのホテルはつぶれたから違う宿を案内してやるよ」と言ってくるリキシャーマンがいます。
もちろん全部嘘。違うホテルへ案内してコミッションを得ることが目的です。
行き先へまっすぐ行ってくれないリキシャはすぐに降りましょう。
また、旅行会社にも「そのツアーはすでにフルだ」「列車のチケットは満席だ」と言って高額なツアーへ誘導する悪徳業者がいます。
だまされないためには、あらかじめ日本でツアーやホテルを予約しておくことです。
普段は自由旅行派の人も、インドでは用心して予約して行った方が安全ですよ。
リキシャーマンの「ノープロブレム」
旅行者が最も多く遭遇するのは、リキシャでのトラブルでしょう。
行き先をつげて「いくら?」と聞いても金額を答えず「ノープロブレム」と言ってくるリキシャーマンがいます。
後から法外な金額を言ってくるので、交渉してくれないリキシャは最初から乗らないようにしましょう。
また、乗ってからも「この先で祭りをやってるから通れないんだ」「この道は通行止めだから代わりの場所へ行ってやるよ」と言って違う場所へ連れていこうとするリキシャーマンもいます。
少しでも「おかしいな」と感じたら止まって降りること。
街にリキシャはたくさん走っているので、わざわざ怪しいリキシャに乗り続ける必要はありません。
「メインバザールは祭りをやっていて入れない」
デリーでバックパッカーが集まるメインバザール(パハールガンジ)。
メトロのニューデリー駅から行くには、駅をまたぐ陸橋を渡らないといけません。
このニューデリー駅にはあらゆる嘘でだまそうとしてくる詐欺集団がうじゃうじゃいます。
「メインバザールは閉まっている」「メインバザールは今日から祭りをやっていて、外国人が入るのは危険だ」と言っては、悪徳旅行会社に誘ってツアーを組ませようとしてきます。
「陸橋を渡るにはチケットがないと入れない」というのも定番の嘘です。
陸橋には手荷物検査がありますが、入るのは無料です。「NO ENTRY」の看板や駅員風の人もいますが、基本的に駅へは誰でも入ることができます。
「チケットは買ったか?」と話しかけてくる人がいても無視してOK。
このあたりで地図を開いていると、あっという間に詐欺グループに取り囲まれてしまいます。
メインバザールへの道は、前もって頭に叩き込んでおくのがいいでしょう。
下の動画が分かりやすいので参考にしてください。
「DTTDCでツーリストマップをもらった方がいい」
デリーにはDTTDC(デリー観光開発公団)の名を語る詐欺師がたくさんいます。
DTTDCは政府系の観光局で信頼できる機関です。しかし、その名前を悪用してだましてくる人がいるんです。
「自分はDTTDCの者だ。このあたりは危険だからDTTDCでツーリストマップをもらった方がいい。僕が案内してあげよう」
これも全部嘘です。DTTDCが自ら客引きをすることはありません。
彼らはニセのDTTDCへ連れていって高額なツアーを組ませることが目的です。
彼らがやっかいなのは、3~4人の集団でだましてくるところ。
勧誘を振り払おうとすると、仲間が「この人が言っていることは本当だよ。なぜ君は信じないんだい!?」と援護射撃をしてきます。
次々に違う人から嘘を言われると、「もしかしたら本当なのかも・・・」と信じてしまいがち。
旅慣れた人でもだまされてしまう手口なので、十分気をつけましょう。
コンノートプレイスの靴磨き詐欺
デリーのコンノート・プレイスも外国人観光客を狙った詐欺の多い場所です。
ボーっとしていると、知らない間に靴に牛のウ○コをつけられていることがあります。
タイミングよく「洗い流せる場所を案内してやるよ」と教えてくれた人についていくと、そこにいるのは靴磨き。
あれよあれよという間に靴を磨かれ、法外な料金を請求されます。
僕は見事、この靴磨き詐欺に引っかかってしまいました。。
事の顛末は旅行記のページに書いているので、あなたも引っかからないよう注意してください。
【インド旅行記6日目・デリー】やられた!デリーの靴磨き詐欺に騙される
バラナシの火葬場で「薪代を寄付しろ」
バラナシの火葬場は無料で見学して回れますが、勝手にガイドを始めて薪代を要求してくる詐欺師がいます。
彼らは「気持ちを払ってくれればいい」と言いながらも、金額が少ないと「これでは足りない」と高額を要求してきます。
火葬場では話しかけてくる人がいても無視しておきましょう。
ゆっくり見学したいなら、マニカルカー・ガートよりもダシャーシュワメード・ガートの方がおすすめです。
ダシャーシュワメード・ガートはマニカルカー・ガートより人が少ないので、話しかけられることなくじっくり見学することができますよ。
バラナシの観光ガイド!行き方・ツアー・おすすめスポット【完全版】
旅行者がすべき対策
インドではいろんなところに注意しないといけないので、最初は疲れてしまうかもしれません。
といっても、「夜に出歩かない」といった基本的なことさえ守れば、凶悪な犯罪に巻きまれることはめったにありません。
次のことに気をつければ、危険な目に遭う確率はグンと減るでしょう。
夜道や人通りの少ない通りを歩かない
夜道や人通りの少ない通りを歩かないのは、海外旅行の基本です。
地方都市だと夜間は街灯がなくて真っ暗ということもあるので、夜は極力出歩かないようにしましょう。
特に女性が一人で出歩くのは危険です。
それさえ守れば、インドの観光地はどこも人通りが多く、急に道ばたで襲われるようなことはありません。
細い路地に入らない限りは安全なので、大通りを歩くことを心がけてください。
話しかけられても無視する
インドでは一歩歩くごとにいろんな人が声をかけてきます。
「どこから来たの?」
「リキシャに乗っていかないかい?」
「いいところへ案内してあげるよ」
ひっきりなしに声をかけられるので、ほんとウザいです。
特に日本語や流ちょうな英語で話しかけてくる人は信用してはいけません。
親切を装っていても、相手はその道のプロ。下心があるからあなたに話しかけてくるのです。
近寄ってくる人は基本的に無視、もしくは「ノー」の一点張りで対処を。
少しでも話を聞いてしまうと、ずっとつきまとわれるので注意しましょう。
人の話をすぐに信じない
インドではあなたをだまそうとしてくる詐欺師がたくさんいます。
特にデリーでは詐欺グループが集団でだましてくるので、どれが嘘でどれが真実か見分けがつかなくなります。
道ばたで地図を開いていると、すぐに「どこへ行きたいの?僕が教えてあげるよ」と声をかけられるでしょう。
彼らは最終的に悪徳な旅行会社へ連れ込んで、高額なツアーを組ませるのが目的です。
(中には本当に親切な人もいますが・・・)
こういった詐欺の被害に遭わないためには、人の話をすぐに信じないこと。
たとえ本当に親切な人だったとしても、最初は疑うことが肝心です。
たとえそれがイケメンや子供であってもです(詐欺グループは最初にイケメンや子供を使って警戒心を解いてきますから)。
また、インドでは人に道を聞いた時にデタラメを教えられることがよくあります。
これは「分からないと答えるのはよくない」というインド人の習性によるもので、「分からないと答えるぐらいなら適当に教えてあげよう」という彼らなりの親切心なんです。
なので、一人が言ったことをすぐ信じるのではなく、複数人に聞いて合ってるか確認するようにしましょう。
手配を人任せにしない
チケットの購入や列車・バスの手配を人任せにしないことも大事です。
「手伝ってあげるよ」と言われても断ること。
最初は「やってくれるなら任せてしまおう」と考えがちですが、後から高額な請求をされるのがオチです。
リキシャのチャーターにしてもそう。自分で交渉すればいいものを、間に人が入ることで高額なコミッションが発生します。
現地での交渉が不安な人は、あらかじめ日本でオプショナルツアー等を申し込んでおくといいでしょう。
人がくれた食べ物を口にしない
インドでは列車で同じ座席になった人が食べ物をくれることがあります。
しかし、人からもらった食べ物・飲み物は用心しないといけません。
睡眠薬を忍ばせて眠ったところで荷物を盗む睡眠薬強盗がいるからです。
もちろん純粋な想いでくれる人もいるから、無下に断るのは気が引けるかもしれません。
本当に大丈夫かどうか、状況によって判断していきましょう。
列車では荷物に鍵をつける
インドの列車ではスリや置き引きなどの被害が多発しています。
バッグに鍵をかけるのはもちろんのこと、席に着いたらすぐにチェーンロックで荷物をどこかにくくりつけましょう。
列車に乗るならチェーンロックとスーツケースの鍵は必需品ですよ。
また、盗難の被害に遭わないためには座席の等級を上げることも有効です。
3等座席やエアコンなしの車両は、エアコンつきの車両より危険度が増します。
財布と要相談ですが、危ない目に遭わないためにはある程度「安全をお金で買うこと」も大事です。
初日の送迎とホテルは予約しておく
インドで一番トラブルが多いのがデリーの空港です。
右も左も分からない旅行者を狙って勧誘してくる人がたくさんいます。
ホテルへ行こうとすると「そこは満室だ」「クローズしてる」と高額なホテルを案内されたり、悪徳な旅行会社に連れて行こうとしてきます。
プリペイドタクシーも、目的地へまっすぐ行かずあれこれ勧めてくる運転手がいます。
被害に遭わないためには、空港からの送迎と初日のホテルは日本で予約しておくことです。
特に夜間に到着する場合は足元を見られやすいので、送迎サービスを手配しておいた方が安全でしょう。
空港からホテルまでの送迎を手配するには、VELTRAがおすすめです。
VELTRAはオプショナルツアーの専門サイト。送迎プランを単体で手配することができます。
デリー、バラナシ、ムンバイ、コルカタといった多くの空港からの送迎に対応してるので、不安な人は利用するといいでしょう。
交通事故に注意する
インドの交通事情は最悪です。
信号無視は当たり前。というか、そもそも交差点に信号がなかったりするので、いつまでたっても横断歩道を渡れないこともあります。
気をつけたいのは交通事故。インドではひき逃げが日常茶飯事に起こるため、引かれても周りは助けてくれません。
事故に遭わないためには、現地の人にくっついて道路を渡るといいでしょう。
名付けて「コバンザメ作戦」(笑)。慣れればタイミングが分かるようになってきますよ。
女性は肌を露出しすぎない
インドでは外国人がレイプ犯罪に遭うケースも多いです。
インドでは自由恋愛の文化がまだまだ根付いておらず、自由な恋愛のできる外国人女性は好奇の目で見られがちです。
肌を露出した服装をしていると「性にオープンな外国人」と見られ、自らを危険にさらすようなものです。
胸元や足を強調した服装は避けるようにしましょう。
また、女性はしつこくつけまわされることもあるので、声をかけられても絶対ついていかないことが大事です。
心配な人は女性向けのパックツアーも利用するといいでしょう。ガイドが同行してくれるツアーなら、安全を旅を楽しむことができます。
実は、インドはそれほど危なくない
これだけ注意していてもだまされてしまうのがインドです。
「自分は大丈夫」と思っている人ほど危ないですからね。
万が一のトラブルに備え、海外旅行保険には必ず入っておきましょう。
しかし、インドでは近寄ってくる人さえスルーすれば、トラブルに遭う確率はグンと少なくなります。
ぼられたとしてもせいぜい数百円程度。かわいいものと思いませんか? これなら珍しい経験をした体験料と捉えてもいいんじゃないでしょうか。
だまされるたびに目くじらを立てていては、インドの旅は楽しめません。
笑い話にできるほどの「心の余裕」がインドでは大事です。
準備をしっかりして楽しい旅にしてくださいね。
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